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温度サイクル試験機(恒温恒湿器)の選び方

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目次

温度サイクル試験機の導入を検討中の方へ。自社の試験に合う機種の選び方から設置条件、運用時の注意点までをまとめました。

温度サイクル試験機とは?恒温恒湿器・冷熱衝撃試験機との違い

温度サイクル試験機は、槽内の温度を決められた速度で上げ下げし、試料に熱ストレスを繰り返し与える装置です。恒温恒湿器や冷熱衝撃試験機との一番の違いは、温度変化の速さにあります。温度変化試験は、変化率30℃/分以上の「熱衝撃試験」と、20℃/分未満の「温度サイクル試験」の2つに大きく分けられます。

装置を温度変化の速い順に並べると、次のようになります。

急速温度変化タイプの温度サイクル試験機は、冷熱衝撃試験機と違って試料に過剰なストレスをかけません。そのため、一般的な使用環境に近い条件で温度サイクル試験ができます。

参照元:JFEテクノリサーチ株式会社「急速温度変化サイクル試験」(https://www.jfe-tec.co.jp/download/pdf/3E2J-323-00.pdf)

参照元:株式会社クオルテック「温度サイクル試験」(https://www.qualtec.co.jp/new_qualtec/wp-content/themes/qualtec_theme/pdf/ondo_saikuru_shiken.pdf)

自社製品の試験に使える?確認すべき温度サイクル試験機のスペック

温度範囲と温度変化速度(℃/分)の見方

カタログに載っている温度変化速度は、JIS C60068-3-5に沿った値です。槽の中心で雰囲気温度が最低温度と最高温度の差の10%から90%まで変化する間に、1分あたり何℃変わったかを表しています。

エスペックのハイパワー恒温(恒湿)器ARシリーズの場合、急速温度変化タイプは温度範囲−70〜+180℃で、−45℃⇔+155℃の平均で6〜18℃/分です(同カタログ掲載のHRSシリーズでは20〜25℃/分の機種もあります)。スタンダードタイプは温度範囲−75(一部−45)〜+180℃で、上昇4.7〜6.3℃/分・下降4.0〜4.9℃/分です(−49.5℃⇔+154.5℃または−22.5℃⇔+157.5℃での平均)。

ただし、これらは外囲温度+23℃(スタンダードタイプは+20℃)、無試料などの条件で測った値です。試料を入れると変化速度は落ちるため、「有試料で5℃/分(−40℃⇔+125℃)」のように有試料での性能が示されている機種かどうかを確認しましょう。また、槽内温度+40℃以下の運転で冷却器に霜が付き、連続運転に制限が出る機種もあります。一方で、全域フロストフリーのため制限がない機種もあります。

設定した温湿度に達するまでの時間は装置ごとに違います。サイクル試験を計画するときは、1サイクルにかかる変化時間を見積もっておくことが大切です。

参照元:エスペック株式会社「ハイパワー恒温(恒湿)器 ARシリーズ カタログ」(https://www.espec.co.jp/products/catalog/ar.pdf)

参照元:地方独立行政法人大阪産業技術研究所「温湿度環境試験装置の紹介(No.21-16)」(https://www.orist.jp/technicalsheet/21-16.pdf)

槽内寸法・耐荷重と許容発熱負荷

槽内寸法(内法)は、容積249Lの機種で幅600×高さ830×奥行500mm、1,100Lの機種で1,100×1,000×1,000mmと幅があります。標準の棚板耐荷重は10〜50kgです。重い試料を試験する場合は、重量物用棚板(50kg仕様)や槽内床面補強(標準70kgから100/200/300kgへ)を選びます。

通電しながら試験する部品で特に注意したいのが、許容発熱負荷です。ARSF-0800-15では、温度試験時(槽内+20℃)が9,000Wなのに対し、温湿度試験時は550Wです。ARS-0680-5でも、温度試験時4,500Wに対して温湿度試験時は500Wです。温湿度試験では許容値が1割前後以下まで下がるため、試料の発熱量を事前に確かめておく必要があります。

参照元:エスペック株式会社「ハイパワー恒温(恒湿)器 ARシリーズ カタログ」(https://www.espec.co.jp/products/catalog/ar.pdf)

試料温度の遅れと「試料温度制御」機能

槽内の雰囲気温度が設定値に届いても、試料内部の温度はすぐには追いつきません。デスクトップパソコンを1℃/分で温度変化させた試験では、雰囲気が50℃に達してから約80分後に外装側面が50℃になりました。内部のCPUが50℃に届いたのは、さらに約80分後です。

正確な温度ストレスをかけたい場合は、オプションの「試料温度制御」が有効です。試料に取り付けたセンサーの温度をもとに、槽内の温度を制御します。

参照元:地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所「電気製品の環境試験における温度応答特性(No.12013)」(https://orist.jp/technicalsheet/12013.PDF)

参照元:エスペック株式会社「ハイパワー恒温(恒湿)器 ARシリーズ カタログ」(https://www.espec.co.jp/products/catalog/ar.pdf)

工場に設置できる?導入前に確認したい設置条件

電源容量と周囲温湿度の条件

ARシリーズの電源電圧はAC200V三相3線で、最大負荷電流は機種によって41〜126Aです。電源ケーブルは付属していません。運転できる外囲条件は、温度0〜+40℃、湿度75%rhまでです。

ARシリーズは三相200V電源が必要で、電源ケーブルも付属していないため、配電盤からの配線工事が必要になります。受電容量に余裕があるかを含め、設備担当者と早めに確認しておきましょう。

また、周囲の温度が数分間で5℃以上変わると、槽内の温湿度が不安定になります。空調の吹き出し口や外気が入る出入口の近くは、設置場所として避けるのが無難です。

参照元:エスペック株式会社「ハイパワー恒温(恒湿)器 ARシリーズ カタログ」(https://www.espec.co.jp/products/catalog/ar.pdf)

参照元:地方独立行政法人大阪産業技術研究所「温湿度環境試験装置の紹介(No.21-16)」(https://www.orist.jp/technicalsheet/21-16.pdf)

参照元:エスペック株式会社「中型恒温恒湿器 取扱説明書 基本編」(https://www.espec.co.jp/support/daily_check/data/sm-01-01.pdf)

空冷式・水冷式の違いと給排水・加湿用純水の準備

冷凍機の凝縮器には、空冷式と水冷式があります。ARシリーズでは、スタンダードタイプ(ARS-○○-J、ARL等)が空冷式、急速温度変化タイプ(ARSF、ARS-0680-5等)が水冷式です。水冷式は冷却水の設備が必要で、ARSFの場合は給水量3,300〜6,360L/h(基準水温32℃)、給水圧力0.1〜0.5MPa、接続配管20A〜32Aが条件になります。

加湿には導電率0.1〜10μS/cmの純水を使います。オプションの純水製造装置(生産水量12L/h)や連続給水を組み合わせれば、給水の手間を減らせます。万一の水漏れに備えて、装置用防水パンも用意されています。

冷却水やクーリングタワーをほかの装置と共用する場合は、ストレーナ清掃時に二次側排水管のバルブを閉めてください。閉めないと背圧で冷却水が逆流し、ストレーナから水が漏れることがあります。

参照元:エスペック株式会社「ハイパワー恒温(恒湿)器 ARシリーズ カタログ」(https://www.espec.co.jp/products/catalog/ar.pdf)

参照元:エスペック株式会社「中型恒温恒湿器 取扱説明書 基本編」(https://www.espec.co.jp/support/daily_check/data/sm-01-01.pdf)

本体重量・搬入経路と設置スペース

ARシリーズの本体重量は約400〜1,000kgです。外法(突起部を除く)は幅800〜1,300mm、奥行1,455〜2,455mmほどあります。

本体重量に耐える床かどうかに加えて、搬入口・通路・エレベーターの寸法など、搬入経路も前もって確認しておきましょう。

参照元:エスペック株式会社「ハイパワー恒温(恒湿)器 ARシリーズ カタログ」(https://www.espec.co.jp/products/catalog/ar.pdf)

参照元:地方独立行政法人大阪産業技術研究所「温湿度環境試験装置の紹介(No.21-16)」(https://www.orist.jp/technicalsheet/21-16.pdf)

温度サイクル試験機を使用するうえで気を付けたいポイント

槽内に入れてはいけない試料と試料の置き方

爆発性物質や可燃性物質、それらを含む物質は、爆発や火災のおそれがあるため槽内に入れてはいけません。腐食性物質も、ステンレスや銅の腐食、樹脂やシリコンの劣化を招き、装置の寿命を大きく縮めます。生物や、許容発熱量を超えるものも試料にはできません。

試料を置くときは、槽内の風の流れをふさがないことが大切です。試料カゴを使う場合も、周りに十分な間隔をあけてください。

「温度分布が悪い」「温湿度が不安定」と感じたときは、次の点を確認します。

通電・発熱する試料の安全対策

発熱する試料を試験するときは、試料電源制御端子を必ず使ってください。装置が止まったとき(異常時を含む)に、試料への通電も止まります。試料付近の温度を見張って通電を止める発熱負荷遮断ユニットや、追加温度過昇防止器・温度過冷防止器のオプションも用意されています。

試料の発熱で槽内温度が温度警報の上限絶対値を超えると「上限絶対値異常」、温度過昇防止器の設定値や温度ヒューズの作動温度を超えると「独立温度過昇異常」の警報が出て、装置が停止します。

低温運転時の着霜対策と日常点検・法定点検

30〜40℃以下で運転すると、冷却器に霜が付きます。霜が付くと、温度が乱れたり下がりにくくなったりします。定期的に除霜運転を行いましょう。除霜運転では、冷凍能力を停止したうえで槽内を70℃以上・湿度OFFに設定し、約60分運転します。その後、扉を少し開けた状態でさらに約15分運転します。

日常の点検では、水回路の漏水確認(1日1回)や、運転前の温度過昇防止器の動作テストなどを行います。また、冷凍機を搭載した装置はフロン排出抑制法の第一種特定製品にあたります。そのため、3か月に1回以上の簡易点検とその記録が義務になっています。

参照元:エスペック株式会社「ハイパワー恒温(恒湿)器 ARシリーズ カタログ」(https://www.espec.co.jp/products/catalog/ar.pdf)

参照元:エスペック株式会社「中型恒温恒湿器 取扱説明書 基本編」(https://www.espec.co.jp/support/daily_check/data/sm-01-01.pdf)

購入前に公設試験研究機関で試験してみる方法も

購入前に、公設試験研究機関の装置で試験条件を試してみる方法もあります。たとえば埼玉県産業技術総合センターの恒温恒湿槽(−40〜180℃)は、1時間280円で利用できます。ただし、電池やバッテリー、発熱・発火のおそれがあるものなどは持ち込めません。

参照元:埼玉県産業技術総合センター「恒温恒湿槽(川口)」(https://www.pref.saitama.lg.jp/saitec/kikiriyo/kaihokiki/hyokashiken/koonkoshitsuso.html)

まとめ

温度サイクル試験機を選ぶときは、まず温度変化速度が無試料での値であることを踏まえて、有試料での性能を確認しましょう。通電試験をする場合は、温湿度試験時の許容発熱負荷も重要な判断材料です。設置にあたっては、200V電源の工事、水冷式なら冷却水設備、本体重量に耐える床と搬入経路を事前に整えておく必要があります。導入後も、除霜やフロン排出抑制法にもとづく簡易点検を欠かさず行いましょう。

環境試験のニーズ別
恒温恒湿器3選
複数条件の試験を
効率よく行いたい
楠本化成株式会社
エタック HIFLEX NEO-ESシリーズ
HIFLEX NEO-ESシリーズ
画像引用元:ETAC公式サイト
(https://etac.jp/product_category/environmental-test-chamber/ )
特徴
  • 1台分の床面積に複数試験槽を実装できる段積みモジュール構成。
    今あるスペースで複数条件を同時に回せるので、評価渋滞を解消。
  • 水蒸気回収+UV殺菌で水質を安定維持し、1度の給水で1,000時間の連続運転が可能※1。
    加湿水由来の試験中断を抑えて再試験・スケジュール遅延を抑制できる。
活用シーン
  • 長時間試験(例:85℃/85%RH)
  • 通電湿熱試験(THBなど)
  • 小型・多品種の並列評価
  • 長期間連続運転
温湿度サイクル試験を
期限内に消化したい
エスペック株式会社
ESPEC ARシリーズ
ARシリーズ
画像引用元:ESPEC公式サイト
(https://www.espec.co.jp/products/env-test/ar/)
特徴
     
  • 18℃/分クラスの高レート昇降温で-40↔85℃/30–95%RHなどの繰り返しサイクルを短時間で処理。
    評価回転数を引き上げられる。
  • 設定値への安定復帰が短く、オーバー/アンダーシュートや設定外滞留を抑制。
    その結果、プロファイル再現性が安定し、再試験リスクを低減。
活用シーン
  • 温度・温湿度サイクル
  • 短納期の大量評価
  • 大型/高発熱サンプル
  • 試作~量産前の反復検証
監査準備の
時間消費を抑えたい
ナガノサイエンス株式会社
NSTシリーズ
NSTシリーズ
画像引用元:ナガノサイエンス公式サイト
(https://www.naganoscience.com/ja/wp-content/uploads/2023/11/NST_2023all_1127.pdf)
特徴
  • 電子記録と監査証跡で操作ログや変更履歴を自動保存。「誰が・いつ・何を行ったか」を、監査時に求められる完全性を保った状態のデータで出力でき、準備の手作業を削減。
  • 医療の国際標準のICHQ1A条件に適合※2する、厳密な槽内環境制御。
    各国規制当局の要求基準を満たす信頼性の高いデータ取得が可能。
活用シーン
  • ICH長期/加速保存
  • 治験薬・原薬の保管
  • 包装・容器の保存安定性
  • 化粧品・食品の保存性評価

※1 オプションのタンクを増設した場合の連続運転時間
※2 参照元:【PDF】安定性試験チャンバー|ナガノサイエンス公式(https://www.naganoscience.com/ja/wp-content/uploads/2023/11/NST_2023all_1127.pdf)

環境試験のニーズ別 恒温恒湿器3選
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