製品の長期信頼性を確保するためには、実使用環境を再現した試験が欠かせません。恒温恒湿器を活用して品質評価を行う企業の事例を通じて、導入効果を紹介します。
微細化が進む半導体や電子部品においては、長時間の通電や高温高湿下でのマイグレーション(イオン移動)など、経年劣化や品質変化を見極める信頼性評価が極めて重要です。
これらの評価には、数千時間に及ぶ連続運転に耐えうる「装置の安定性」と、将来的な環境規制(フロン規制等)に対応した「持続可能性」の両立が求められます。
各種セラミックコンデンサや高周波デバイスを製造するテクダイヤでは、老朽化した恒温恒湿器の更新にあたり、「環境性能」と「メンテナンスリスクの低減」を重視していました。
採用されたのは、低GWP冷媒(R448A)を搭載したETAC(エタック)の恒温恒湿器です。 低GWP冷媒への対応により将来の規制リスクを排除しつつ、長期の定値運転でも安定した性能を維持できる信頼性が評価されました。
導入後は、懸念されていた装置トラブルのリスクが払拭され、環境負荷を低減しながら安定した連続試験稼働を実現しています。
EV化や電装化が進む自動車開発では、部品がさらされる環境も過酷になっています。特に、寒冷地から砂漠地帯までを想定した「ヒートショック(急激な温度変化)」への耐性は必須要件。
試験において重要になるのは、規格で定められた「急速な昇降温レート」を、大型部品であっても正確に追従・再現できるパワーです。
実際の使用環境を安定して再現するために、恒温恒湿器が使われます。
企業の製品開発や試験評価を支援している多摩テクノプラザは、高度化するモビリティー分野の開発支援をさらに強化する目的で、エスペックの恒温恒湿槽ARSF-800-15を導入しました。
自動車や航空機といったモビリティー分野の製品開発においては、広範な温湿度範囲での試験が不可欠です。実環境下の過酷な温湿度条件を再現するにあたって選ばれたのが、-70~180℃の範囲で15℃/分の急速温度変化が可能なARSF-800-15でした。
ハイパワーな恒温恒湿器の導入によって、多摩テクノプラザでは高精度な信頼性評価を実施できる体制が整えられています。
温湿度変化による有効成分の変質や分離・変色が品質に直結する医薬品・化粧品の分野では、ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)の安定性試験ガイドラインに準拠した「保存試験」や「加速試験」が行われます。
劣化を促進する過酷な環境を再現し、製品を試験するために用いられるのが恒温恒湿器です。信頼性の高いデータを取得するには、高精度な恒温恒湿器の導入が欠かせません。
医薬品の製造を手掛ける新新薬品工業は、品質管理を取り扱う総合管理センターに恒温恒湿器「NST-W408」を増設しました。外部委託していた試験用検体の保管をはじめとする業務を、自社内で対応するためです。
恒温恒湿器の増設により、海外向け製品の安定性試験検体を保管することも可能となり、製品開発の新たな領域が切り拓かれました。
風味・食感・色調といった「おいしさ」を左右する要素は、保存環境によっては損なわれてしまう可能性があります。また、品質の変化が安全性に関わるリスクとなる場合も。
食品・飲料業界におけるこれらの課題の対策には「保存試験」や「加速試験」といった客観的な評価に依拠しながら、適切な賞味期限を設定することが欠かせません。
恒温恒湿器は、高温多湿や長期におよぶ保管といった、食品・飲料製品にとって過酷な条件を厳密に再現。官能評価や安全性の検証に必要な信頼できるデータ取得を可能にします。
菓子の製造・販売を行うヨックモックでは、賞味期限の検証に使用していた恒温恒湿槽の故障が頻発し、試験の遅延や点検作業の負担が大きな課題となっていました。
リプレイスする際に選ばれた恒温恒湿器はETAC(エタック)のHIFLEX NEO-E。低GWP冷媒R448Aを使用しており、長期的な運用においても負荷が抑えられる点が決め手でした。
HIFLEX NEO-Eは点検の頻度を従来機より抑制でき、トラブルも少ないため、安心感をもって製品試験を行えています。
プラスチック部品や建材パネルなどは、温湿度変化による変形や接着強度の低下が課題となります。耐久性を確認するために行なわれるのが「環境試験(耐候試験)」や「吸湿試験」です。恒温恒湿器は試験環境を一定に保ち、正確な評価を支えます。
マンション向け建材の性能評価を目的に、ESPECの恒温恒湿器(恒温恒湿室)が導入された事例です。温湿度に加え、日射や降雨なども再現できる設備で、サッシやバルコニーなど建材の耐久性や接着性能を高精度に評価できます。可動式構造により試験品の入れ替えも容易になりました。
恒温恒湿器は半導体から食品、建材まで、業界を問わず品質試験や信頼性評価に活用されています。試験内容や必要な温湿度範囲に応じて適した装置を選定することで、長期的な運用コストを抑制することが可能です。自社の用途に合う製品を選択しましょう。
環境試験の課題をクリアする恒温恒湿器を選ぶには、各メーカーの得意分野と活用シーンを知ることが大切です。このメディアでは、評価担当者が条件に合うメーカーを見極められるよう、各社の強みを整理して紹介しています。


※1 オプションのタンクを増設した場合の連続運転時間
※2 参照元:【PDF】安定性試験チャンバー|ナガノサイエンス公式(https://www.naganoscience.com/ja/wp-content/uploads/2023/11/NST_2023all_1127.pdf)