恒温恒湿器のコストは、本体価格だけでなく導入後の維持や運用を含めて考えることが大切です。購入時の費用だけで判断すると、長期的に見て割高になる場合もあります。
本記事では、導入やリプレイスを検討している方に向けて、恒温恒湿器のコスト構造を整理し、10年先を見据えた適切な選び方についてまとめました。
恒温恒湿器のサイズや使用頻度によって、TCOの構成比は変わってきます。小型・高頻度利用モデルの大部分を占めるのは運用費、大型・標準利用モデルの大部分を占めるのは初期費用。
恒温恒湿器のタイプごとに、TCOを構成する各項目の費用目安を知り、総コストを比較することが大切です。
恒温恒湿器全体における本体販売価格は1,306,800円※1~3,517,800円※2(税込)が目安です。
具体的なレンジは、本体内に格納できる対象物のサイズ、恒温恒湿の性能などによって変わってきます。
中には102,911円~372,900円※3(税込)程度でレンタルできる製品もあるので、使用期間を踏まえてどちらを利用するか検討しましょう。
また、導入時には本体価格の他に設置費、付帯工事(電源・排熱)などが発生します。
信頼性評価に不可欠な産業用の高性能モデルは、価格の桁が変わります。
理化学機器検索「SORAN」のデータでは、標準的な床置型で約220万~1,000万円、急速温度変化対応機や大型ウォークインでは400万円台~2,000万円級が相場です。
さらに振動複合機などの特殊仕様では1,650万円を超えるケースもあり、要求規格や試験規模に応じた適正な予算確保が必要です。
運用コスト(特に電力費)は、装置の「規模」や「性能」に加え、試験の内容や実施時間などによって大きく変動します。そのため、カタログスペックだけでTCOを比較することはできません。
重要なのは、自社が行う主要な試験パターンをメーカーに提示し、その条件に基づいた「消費電力」や「補水頻度」の概算を取り寄せることです。
定期点検や校正など時間経過に伴う費用に加え、いつ発生するか予測不能な故障修理費も含むため、年間の予算管理は難しくなります。メーカーの保守契約を利用すれば、こうした不確定な費用も含めて年間の保守費を定額化し、計画的な「予算化」が可能です。
リプレイスの場合は、旧機種でかさんでいた修理費が、新品導入と保守契約によってどの程度削減・平準化できるかが判断材料となります。
TCOを試算する上で見落とされがちですが、影響の大きいコストです。これは「試験の失敗」にかかる費用を指します。具体的には、試験中断による「再試験の工数(人件費)」、その間の「電力費・補水費」、場合によっては「試験サンプルの廃棄費用」などです。
停止損失コストを抑えるには、装置の「信頼性」を見極めることが不可欠。具体的には、装置の耐久性、稼働実績、異常検知アラート機能の有無、故障時のサポート体制などをメーカー担当者に確認すると良いでしょう。
装置が実用上の寿命を迎え、廃棄・更新する際にかかる費用です。旧装置の撤去・廃棄費や新装置の再設置費も、TCOを圧迫する要因になります。特に装置の耐久性が低いと更新頻度が増えるため、TCOは増大します。過酷な条件下でも長く使える耐久設計を選ぶことが、最終的なコスト削減につながります。
TCOは初期・運用・保守・停止・更新の総額です。本体価格の安さで製品を選んでも、電気代や故障に伴うリプレイス費用、再試験・開発遅延に伴うコストなどが肥大化すると意味がありません。
TCOを最小限に抑えるには、恒温恒湿器の導入目的や用途を明確にし、必要な稼働率や保守頻度を見極めて製品を選ぶことが大切です。
環境試験の課題をクリアする恒温恒湿器を選ぶには、各メーカーの得意分野と活用シーンを知ることが大切です。このメディアでは、評価担当者が条件に合うメーカーを見極められるよう、各社の強みを整理して紹介しています。


※1 オプションのタンクを増設した場合の連続運転時間
※2 参照元:【PDF】安定性試験チャンバー|ナガノサイエンス公式(https://www.naganoscience.com/ja/wp-content/uploads/2023/11/NST_2023all_1127.pdf)