環境試験とは、温度・湿度・圧力・振動といった外的負荷を製品に加え、耐久性や安全性を検証する試験です。EV(電気自動車)やポータブル電子機器の普及に伴い、リチウムイオン電池をはじめとする二次電池の需要が急増しています。車載用バッテリーには、過酷な使用環境に耐える高い安全性と安定した性能が欠かせません。環境試験を実施することで、実使用条件下で二次電池が正常に機能するかを事前に確認でき、製品の信頼性確保に役立ちます。
充放電サイクル試験は、電池の充電と放電を繰り返し行い、何回使用できるかという寿命(サイクル寿命)を評価する試験です。推奨される充電レート・放電レートに基づいて充放電を反復し、容量劣化の推移を測定します。恒温器を用いた温度サイクル試験では、高温や低温などさまざまな温度条件下での電池性能を確認できます。
温度特性試験により各温度帯における入出力容量を把握し、定電流負荷特性試験では電流レートの変更による容量変化を検証する仕組みです。自動車用リチウムイオン電池の分野では、IEC 62660-1などの国際規格に基づくサイクル寿命試験が定められています。EV向けバッテリーの長寿命化は航続距離や車両価値に直結するため、充放電サイクル試験による性能評価は開発段階で欠かせない工程といえるでしょう。
参照元:日本自動車研究所|電動車両用電池・充電に関する国際標準化動向(https://img.jari.or.jp/v=1641526913/files/user/pdf/JRJ20190202_q.pdf)
安全性評価における電気的試験には、外部短絡試験・過充電試験・過放電試験があります。外部短絡試験は端子間の短絡で生じる大電流への耐性を確認し、過充電・過放電試験では規定値を超えた充放電時の安全性を検証します。
機械的試験には、外部からの加圧に耐えるかを確認する圧壊試験や、金属片の貫通により内部短絡を模擬する釘刺し試験、衝突試験・落下試験が含まれます。いずれもJIS・IEC・UN 38.3(国連危険物輸送勧告)・ULなどの国内外の規格に準拠した試験項目です。
熱衝撃サイクル試験では、高温(60〜85℃)と低温(-40〜-20℃)の急激な温度変化を繰り返し、電池の耐性を評価します。高温耐久試験は、車載用で約130℃、産業用で約85℃の高温環境に電池を曝し、熱暴走が発生しないことを確認するものです。
火炙り・耐類焼試験では、炎の接触や単電池の熱暴走が隣接セルへ伝播しないかを検証し、発火・防爆対策の要となっています。航空輸送を想定した減圧試験(11.6kPa)や、結露試験・塩水噴霧試験・水没試験なども不可欠な試験項目です。これらの環境安全性試験を通じて、熱暴走や発火のリスクを開発段階で特定し、防爆設計へ反映させることが求められます。
参照元:大和製罐|環境安全性試験の試験項目について_No.34(https://www.daiwa-can-ens.com/info/technology/column_0134)
参照元:神戸製鋼グループ|二次電池 安全性評価・劣化試験|(https://www.kobelcokaken.co.jp/contract/sb_safety/)
EV市場の拡大に伴い、バッテリーや二次電池に対する環境試験の一層の充実が求められています。充放電サイクル試験では繰り返し使用による性能劣化を定量的に把握し、電池の寿命を正確に評価できます。外部短絡試験・圧壊試験・釘刺し試験などの電気的・機械的試験は、異常時の安全確保に不可欠です。
熱衝撃サイクル試験や高温耐久試験、火炙り・耐類焼試験といった環境安全性試験を併せて実施することで、発火・防爆リスクの検証が可能になります。環境試験の精度を高めるためには、専門の試験設備と豊富な知見が求められるでしょう。信頼できる試験機関の選定や、用途に合った環境試験機器の導入をご検討ください。
環境試験の課題をクリアする恒温恒湿器を選ぶには、各メーカーの得意分野と活用シーンを知ることが大切です。このメディアでは、評価担当者が条件に合うメーカーを見極められるよう、各社の強みを整理して紹介しています。


※1 オプションのタンクを増設した場合の連続運転時間
※2 参照元:【PDF】安定性試験チャンバー|ナガノサイエンス公式(https://www.naganoscience.com/ja/wp-content/uploads/2023/11/NST_2023all_1127.pdf)