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食品分野の環境試験

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目次

食品の品質や安全性は、温度・湿度といった保存環境の影響を大きく受けます。賞味期限の科学的な裏付けや、流通過程での品質変化の予測には、制御された環境下で食品の経時変化を評価する「環境試験」が欠かせません。

しかし、試験の精度は使用する装置の性能に大きく左右されます。庫内の温湿度ムラや結露が試験結果のばらつきを招き、期限設定の信頼性を損なうケースも少なくありません。本記事では、食品分野における環境試験の目的と代表的な試験手法を整理した上で、試験を正確に再現するための環境試験機の選定要件を解説します。

食品分野における環境試験の目的

食品の環境試験とは、温度・湿度などの環境条件を人為的に設定・制御し、食品や包装資材の品質変化を評価する試験の総称です。食品メーカーにとって、消費者の安全を守りながら適切な品質保証を行うための基盤となる工程といえます。

賞味期限・消費期限の科学的な妥当性確認

食品の期限表示は、科学的・合理的な根拠に基づいて設定することが求められます。消費者庁の「食品期限表示の設定のためのガイドライン」では、客観的な試験・検査を実施し、その結果に基づいて期限を設定すべきとされています。環境試験で得られる微生物検査・理化学検査・官能検査のデータは、期限設定の直接的な根拠となります。

適切な試験に基づく期限設定は、消費者の安全を確保するだけでなく、過度に短い期限設定によるフードロスの削減にも寄与します。科学的に妥当な期限を設定することで、安全性と食品廃棄の抑制を両立させることが可能です。

参照元:【PDF】消費者庁|食品期限表示の設定のためのガイドライン(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_250328_1029.pdf

包装資材のバリア性・耐久性の評価による品質保持

食品の品質は、中身そのものの特性だけでなく、包装資材の性能にも大きく依存します。食品包装フィルムには、酸素や水蒸気の透過を遮断する「バリア性」が求められますが、水蒸気の分子は非常に小さく、一般的なフィルムを透過してしまいます。

環境試験では、高温・高湿条件や温度変化の繰り返しにより包装資材にストレスを与え、バリア性能の経時劣化や耐久性を評価します。包装と中身の組み合わせで品質保持期間を検証することで、資材選定の最適化やコスト削減にもつなげることができます。

参照元:折兼公式HP(https://www.orikane.co.jp/orikanelab/27845/

食品分野における環境試験の種類

食品の環境試験には、目的や評価期間に応じて複数の手法があります。ここでは、食品メーカーで広く用いられている代表的な2つの試験手法を紹介します。

経時変化を早め短期間で評価する「加速試験(虐待試験)」

加速試験は、実際の保存条件よりも過酷な温度・湿度環境を設定し、品質劣化の進行を意図的に早めることで、短期間で賞味期限を推定する手法です。アレニウスの式から導かれる『10℃2倍則』(温度が10℃上昇すると化学反応速度がおよそ2〜3倍になるという経験則)を応用し、複数の温度帯(例:30℃・40℃・50℃)で保管したサンプルの劣化データから、流通温度での期限を理論的に算出します。

防災食や宇宙食のように保存期間が3〜5年以上に及ぶ製品では、リアルタイムでの保存試験に膨大な時間がかかるため、加速試験が特に有効です。ただし、アレニウス式は化学反応に基づく推定手法であり、微生物増殖の予測やチョコレートなど加温により物性が変化する食品には適用できない点に注意が必要です。

参照元:環境科学研究所公式HP(https://www.kankyokagaku.com/media/news/a38

参照元:折兼公式HP(https://www.orikane.co.jp/orikanelab/33469/

実環境を模して長期間評価する「保存試験(安定性試験)」

保存試験は、製品が実際に流通・保管される環境条件(常温25℃・冷蔵10℃以下・冷凍-18℃以下など)を恒温槽で再現し、リアルタイムで品質変化を観察する試験手法です。設定した期間ごとにサンプルを取り出し、微生物検査・理化学検査(pH、酸価、過酸化物価など)・官能検査を実施して、品質の経時変化を定量的に評価します。

加速試験と異なり実際の保存環境に即した条件で評価するため、結果の信頼性が高い点が利点です。一方で、長期間にわたり一定の温湿度を維持する必要があるため、試験装置には安定した温湿度制御能力と長期運転の耐久性が求められます。加速試験と保存試験を併用し、両者の結果を照合することで、より信頼性の高い期限設定が可能になります。

参照元:三洋貿易公式HP(https://www.sanyo-si.com/learn/report/food/

環境試験機選定の要件(試験を再現するための装置条件)

食品の環境試験で信頼性の高い結果を得るためには、試験条件を正確に再現できる装置の選定が重要です。ここでは、恒温恒湿器をはじめとする環境試験機に求められる主要な要件を解説します。

試験の再現性を担保する「温湿度制御の精度と均一性」

環境試験の結果は、庫内の温湿度がどれだけ均一に保たれているかに直結します。温度や湿度にムラがあると、同一条件で保管しているはずの複数検体間で劣化の進行に差が生じ、試験結果のばらつきとなって現れます。

装置選定においては、温湿度の制御精度だけでなく「庫内分布」の性能を確認することが重要です。高性能な装置では、庫内全域で温度±2℃・湿度±5%RH以内の均一性を保証しています。気流制御方式やセンサー配置の設計も装置によって異なるため、自社が実施する試験の温湿度条件に合った性能を備えているか、仕様を比較検討することをおすすめします。

食品特有のリスクを防ぐ「結露対策と衛生面・運用効率」

食品の環境試験では、温度変化に伴う結露が大きなリスク要因となります。検体やトレイの表面に結露が生じると、カビや細菌が発生しやすくなり、試験結果の信頼性を損なうだけでなく衛生上の問題にも発展します。結露防止機能(除湿制御や扉部のヒーター)を備えた装置を選定することで、こうしたリスクを低減できます。

衛生面では、庫内がステンレス製で清掃しやすい構造であることも重要な要件です。食品を直接扱う試験では、試験ごとの洗浄・消毒が求められるため、棚板の取り外しやすさや庫内のR加工(角の丸み処理)なども選定時に確認したいポイントです。さらに、多品種の検体を同時に並列処理する必要がある場合は、庫内容積やトレイの段数が十分か、検体間の気流が確保される構造かという点も検討が必要になります。

試験の目的に合った装置選定が
正確な品質評価の鍵

食品分野の環境試験は、賞味期限の科学的な設定根拠を得るとともに、包装資材を含めた品質保持力を評価するために実施されます。加速試験で短期間に劣化傾向を把握し、保存試験で実環境に即した品質変化を確認することで、より信頼性の高い期限設定が可能になります。

これらの試験を正確に再現するためには、温湿度の制御精度と庫内均一性に優れた環境試験機の導入が不可欠です。結露対策や衛生管理のしやすさ、検体の並列処理能力など、食品特有の要件を踏まえた装置選定が、試験精度と業務効率の両立につながります。自社の試験目的や検体量に適した環境試験機の比較検討をご検討ください。

環境試験の課題をクリアする恒温恒湿器を選ぶには、各メーカーの得意分野と活用シーンを知ることが大切です。このメディアでは、評価担当者が条件に合うメーカーを見極められるよう、各社の強みを整理して紹介しています。
環境試験のニーズ別
恒温恒湿器3
複数条件の試験
効率よく行いたい
楠本化成株式会社
エタック HIFLEX NEO-ESシリーズ
HIFLEX NEO-ESシリーズ
画像引用元:ETAC公式サイト
(https://etac.jp/product_category/environmental-test-chamber/ )
特徴
  • 1台分の床面積に複数試験槽を実装できる段積みモジュール構成
    今あるスペースで複数条件を同時に回せるので、評価渋滞を解消
  • 水蒸気回収+UV殺菌で水質を安定維持し、1度の給水で1,000時間の連続運転が可能※1
    加湿水由来の試験中断を抑えて再試験・スケジュール遅延を抑制できる。
活用シーン
  • 長時間試験(例:85℃/85%RH)
  • 通電湿熱試験(THBなど)
  • 小型・多品種の並列評価
  • 長期間連続運転
温湿度サイクル試験
期限内に消化したい
エスペック株式会社
ESPEC ARシリーズ
ARシリーズ
画像引用元:ESPEC公式サイト
(https://www.espec.co.jp/products/env-test/ar/)
特徴
     
  • 18℃/分クラスの高レート昇降温で-40↔85℃/30–95%RHなどの繰り返しサイクルを短時間で処理。
    評価回転数を引き上げられる。
  • 設定値への安定復帰が短く、オーバー/アンダーシュートや設定外滞留を抑制
    その結果、プロファイル再現性が安定し、再試験リスクを低減
活用シーン
  • 温度・温湿度サイクル
  • 短納期の大量評価
  • 大型/高発熱サンプル
  • 試作~量産前の反復検証
監査準備
時間消費を抑えたい
ナガノサイエンス株式会社
NSTシリーズ
NSTシリーズ
画像引用元:ナガノサイエンス公式サイト
(https://www.naganoscience.com/ja/wp-content/uploads/2023/11/NST_2023all_1127.pdf)
特徴
  • 電子記録と監査証跡で操作ログや変更履歴を自動保存。「誰が・いつ・何を行ったか」を、監査時に求められる完全性を保った状態のデータで出力でき、準備の手作業を削減
  • 医療の国際標準のICHQ1A条件に適合※2する、厳密な槽内環境制御。
    各国規制当局の要求基準を満たす信頼性の高いデータ取得が可能
活用シーン
  • ICH長期/加速保存
  • 治験薬・原薬の保管
  • 包装・容器の保存安定性
  • 化粧品・食品の保存性評価

※1 オプションのタンクを増設した場合の連続運転時間
※2 参照元:【PDF】安定性試験チャンバー|ナガノサイエンス公式(https://www.naganoscience.com/ja/wp-content/uploads/2023/11/NST_2023all_1127.pdf

環境試験のニーズ別 恒温恒湿器3選
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